大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和26(あ)1634 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人西野陸奥太郎の上告趣意第一点について。

記録に徴すれば、所論の大蔵事務官の被告人に対する質問調書は宮崎における連

合国占領軍の軍政部の指示に基き被告人を逮捕留置中に作成せられたものであるこ

とが窺われ、また所論の検察官に対する被告人の弁解録取書は本件関税法違反事件

が門司税関長から宮崎地方検察庁延岡支部に送致された五日後に作成せられたもの

であつて、当時被告人はなお拘禁を継続せられていたものと推測されるが、この点

は記録上必ずしも明らかではない。(本件につき被告人に対する裁判官の勾引状勾

留状は約九ケ月後に発せられ、執行されている。)されば、右の被告人に対する逮

捕拘禁の適否については更に究明を要するところであるが、しかし仮にその手続が

違法であつたとしても、それがためその後の手続が違法となるものではなく、その

拘禁中作成せられた供述録取書類を証拠となし得ないものではないことは、当裁判

所の判例(昭和二二年(れ)第三三四号、同二三年六月九日大法廷判決、判例集二

巻七号六五八頁以下、)の趣旨に徴し明らかである。従つて原判決が所論の供述録

取書類につきその供述の任意性を認め証拠能力があるとしたことについては何等の

違憲違法はなく、論旨は理由がない。

同第二点乃至第四点について。

論旨はいずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(第三点所論の、第一審判

決に被告人の検事に対する供述調書とあるのは、原判決のいうごとく弁解録取書の

誤記ではなく、検察官宛の供述書(記録二八九丁以下)の誤記と見るべきものに過

ぎない。)

記録を調べても本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

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よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和二八年三月六日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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